親の家の片付け方

May 3, 2016

 

1.背景

「健康寿命」という今まではあまり使われてこなかったような言葉が平然と使われている。健康寿命とは、健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間の事だ。厚生労働省(平成22年)の調べによれば男性70.42歳、女性73.62歳となっている。平均寿命が男性79.55歳、女性86.30歳であることから、男性は9.13年女性では12.68年という期間において介護など他者からのサポートが必要となる。

終活やエンディングノートの普及など、これまでは「縁起でもない」とタブー視されていたことが明るみに出、終末期に目を向ける人が多くなっている。そして、健康寿命を超えた人生ラスト10年をどのように迎え・生きるべきかということについて、各方面で様々な試みが提唱されている。その中で、モノと自分のあり方を見直そうという動きがある。

「老前整理(ろうぜんせいり)」もこの様な終末期に対する考え方の一つだ。提唱者の坂岡洋子さんは、福祉住環境コーディネーターとして主に介護保険における補助金申請についての講師をしていたが、受講者の声から在宅介護現場の実情を知り、自らケアマネージャーとなって在宅介護の現場でモノと高齢者・家族の関係を見つめて来た。その中で、助成金によって廊下に手すりを取り付けても、廊下の床面に家財道具が積み重ねられており、手すりに手が届かないというような場面に多く遭遇した。高齢者は手すりではなく、不安定な家財道具を伝って移動しているため転倒する場合や介添え人を必要とする場合が多く、せっかく取り付けた手すりは何の意味も持たなかった。家財道具を処分したり、移動すれば良いとも考えられるが、現在は介護者も65歳以上の老老介護の割合が極めて多く、高齢の為簡単に家財道具を移動できないというのか現状である。

 

2.原状

では、現場ではどの様なことが起こっているだろう。こちら山形県庄内地方では、庄内を離れ関東などで家庭を築く方が多い。そうなると当然、自分が生まれ育った家には両親だけで暮らすケースがほとんどだ。

それではどのようなタイミングで片付けを始めるのか。様々なケースがあり世代によっても異なるが、まず娘・息子では片付け始めるタイミングが違う。娘の場合は、両親が健在な時はそれなりにその暮らしぶりを気にしながらも、様子を伺っている状態が多い。しかし、どちらかが先に逝ってしまうと、とたんに片付け熱が高まって行く。多くは母親が一人暮らしを始めて落ち着いた頃というタイミングだ。

娘は心配をしていろいろと世話を焼いてくれるが、母親にしてみれば有難迷惑で今度は何を捨てろと言われるだろうとブツブツ言っていることが多い。なんでも一人でできる健康な内から世話を焼かれるので少々うんざりしてしまい、娘と母親が対立してしまうこともある。

それでは息子はどうだろう。息子の場合も両親が健在な時にはあまり心配することはないが、やはりどちらかが先に逝ってしまうと途端に心配になってくる。しかしその対応は残されたのが母親の場合と父親の場合では少し違うように感じる。母親と息子の場合では、息子は母にまめに連絡をし、母は子に心配させまいと少々具合が悪くても大丈夫、大丈夫と息子を気遣う。息子はその言葉を信じ込み、実家に数年戻らないようなことになると、実は実家がごみ屋敷のようになってしまっているというようなこともある。母と息子の場合、母が施設に入るタイミングでのご依頼が多い。

息子と父では、なかなか連絡すら取っていないケースが多い。お互い気にかけてはいるもののテレなのか、父にしたら息子に迷惑をかけたくないと思っているのか、連絡を取り合わないのだ。こうなってくると、最悪の場合自宅で孤独死をしておりヘルパーさんから発見されるというようなことも現実に起こっている。息子にはどうにもやるせない心残りが深く刻まれる。心の傷も大きいが、生命保険への加入の有無さえも解らない場合がある。私たちもご依頼によって保険の証書などを探し出すということがあった。当然申請しなければ保険金はもらえないのだ。

子供がいないケースも多くある。この場合は兄弟や甥・姪から片付けのご依頼を頂く。子供がいない場合はそのほとんどが遺品整理のご依頼だ。私には兄弟がいないので兄弟に対する思いを理解することは難しいが、比較的親の家の片付けよりもドライに割り切れる事が多いように感じる。しかし兄弟であれば相続の対象者となるので金銭的な負担は少ない事もあるが、甥・姪になると相続の対象とならないためその負担は大きい。甥・姪からの片付けのご依頼も費用がかさむ遺品整理が多い。

始めに叔父が亡くなりその後連れ合いが亡くなる。子供がいない場合、その連れ合いの兄弟が相続の対象者となる。こうなると生前叔父とさして交流もない人へも叔父が残した遺産が行ってしまうかもしれない。

生前実の子のように支えた姪や甥は切なげに最後の遺品整理の作業を見守っていた。

 

3.片付けを始めるには

 それではどのように親の家を片付けると上手くいくのか。間違っても「エンディングノートを書く」などというのが最初に来るとまったく進まない。エンディングノートを書くのはとても大切なことだが、いきなりというのは非常にハードルが高く切り出すタイミングが難しい。あれこれ悩むより一番大切なことは、コミュニケーションによって信頼し合える関係を築く事だ。特に娘などは、片付ける事自体が目的になってしまい、思う様に行かないとあまりに力が入りすぎて「こんなにガラクタ残されたら私が大変になるのよ!」的な発言をしてしまう事がある。気持ちはわかるが、これでは何も解決しない。母親は娘が怖いと殻に閉じこもってしまうだろう。まずは親の話をしっかりと聴く事、そして現状を何も言わず観察することだ。

その上で安全で安心して暮らせること。健康であること。ご機嫌であること。いつでも人を招き入れる事ができること。そんな親と子の共通の願いを目的にして、片付けを進めて行くことこそ、高齢の親の家を片付ける秘訣である。

 

山形県鶴岡市 酒田市 三川町 お片付けのプロ集団 アンカーズ

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