気づけば、怒涛の11月が終わった。
今年も残りあと一か月。毎年恒例の「今年の漢字」が話題になる頃だが、私にとっては迷わず『変』の一字だろうと思う。
これほど自分が変化した年は、そう多くない。よく考えれば、今年は歳男でもあった。節目というのは不思議で、どこかで“やっと本当の自分に出会えた”ような感覚が芽生えている。
もちろん、変わることは楽ではない。
いろんな着色、心の壁、見栄、被害妄想めいた妨害工作──すべて自分の心の中で繰り広げられる。自分の小さな城にこもって、王様でいることがいつもの自分を守ることで、つまらないプライドを盾に、人を責めたりしてつまらない自分を繰り返す。
そんな“閉じこもり王”に対して、今年は勇猛果敢な開拓者が現れた。名前は「苦難」。まるで門を叩くように「出てこい」と迫ってきた。
逃げたくても逃げられない、逃げなかったことで、閉じ込められていた王様はやっと解放されたのだと思う。
不思議なもので、解放されてみると周りがよく見えてくる。
すると、今の世の中には、自分と同じように小さな城に閉じこもっている“王様”たちがたくさんいることに気づいた。
かつての自分がそうだったから、心の壁の辛さも、プライドの重さも、よくわかる。
だからだろうか──
そんな王様たちの解放に、ほんの少しでも役に立てたらいいな、なんて。
お節介なのは百も承知だが、それくらいは焼いてみようかという気分にもなっている。
11月を駆け抜けた今、ようやく肩の力が抜けて、少しだけ遠くまで見渡せるようになった。
残り一か月、どんな景色が待っているのか。
変わることを恐れずに、今年のラストを歩いていこうと思う。