NHKラジオで「たそがれ清兵衛」の朗読を聴いている。
藤沢周平という、ここ庄内が生んだ作家の物語であり、
この庄内が映画の舞台にもなった作品だ。
原作に触れるのは初めてだったが、聴き進めると
清兵衛の顔が、思っていたのと違っていた。
冴えない三十がらみの男で、
私の頭に浮かんだのは、映画で主演を務めた真田広之ではなく、サザエさんのアナゴさんだった。
あの映画で私が感動したのは、
清兵衛の「本当に大切なモノを、大切にする生き方」に自分の生き方を問われた気がしたからだ。
清兵衛は、評価を取りに行かない。
出世も、体面も、武士らしさすら、後回しにする。
彼が大切にしていたのは、
地位でも、剣でもなく、
「一番近くにいる人たち」だった。
「置かれた場所で咲きなさい」という言葉がある。
この作品に出会ってから、
「咲く」という言葉の意味が、少し変わった。
咲くとは、
目立つことでも、
評価されることでも、
上に行くことでもない。
咲くとは、
置かれた場所から逃げずに、
そこで大切にすると決めたものを、
ちゃんと大切にし続けることだ。
朗読では、刺客としてやっと清兵衛が登場した所だ、