高校時代から、コロナ禍であったにも関わらず、どうしてもブライダルの仕事に就きたいと、専門学校に通うこと2年。
念願叶って、東京・青山のブライダルサロンにドレスコーディネーターとして就職した娘。
そんなピンポイントの仕事あるんだと驚いておりましたが、芸能人なんかも来るとかで、華やかな世界に足を踏み入れた彼女も、2年で転職。
今度の職場はアパレル関係の会社で、新人はまずフロアスタッフからということで、配属先はなんと横浜駅隣接の「ルミネ横浜」。
「専門学校、出なくてもよかったんじゃない?」なんて少し思ってはいますが、まあ娘の人生ですし、ということで新しい職場の“視察”へ。
ルミネというのは、田舎者の私にはまるで雑誌やSNSで見かける“ブランドのおせち料理”のようなビルで、やっぱり楽しいし、すんごい人。
どこを見てもキラキラしていて、働く人もお客さんも、みんなおしゃれ。
こんな華やかなところで娘が働いているんだと思うと、なんだかちょっと羨ましく感じました。
お昼休憩に一緒にランチをしながら近況を話し、「頑張ってやってるってみんなに言っておいて〜」と笑う娘。
その表情が少し大人びて見えて、心の中で“よくやってるな”とつぶやきました。
別れ際、ふと娘が言いました。
「私、何にでもなれるんだ!って思ってる」
あの頃、夢中で将来を語っていた高校生の顔が、一瞬だけ重なって見えました。
何になるのかなりたいのか、父も負けてられない。会場は〈飛天〉。フジテレビの音楽特番「FNS歌謡祭」などが開催される、まさに“テレビで見たあの場所”です。
初めて足を踏み入れた私は、その天井の高さとシャンデリアの輝きに圧倒されました。ステージの先に広がる空間は、画面越しよりはるかに大きく、そして荘厳。全国から1,500名を超える仲間が一堂に会し、45周年を祝う場としてふさわしい空気に満ちていました。
特別記念公演では、武蔵野大学教育学部教授の貝塚茂樹先生が登壇。「戦後80年と道徳・家族・国家」という壮大なテーマについて語られました。
冒頭で紹介された戦中派・吉田満の問いかけ――「もし豊かな自由と平和、それを支える繁栄と成長力が、自己の利益中心に費やされるならば、それは不幸である」という言葉が強く心に残ります。豊かさの裏に潜む“空洞化”への警鐘が、時代を越えて響いてきました。
続いて語られた「戦後80年の歴史」は、①敗戦と戦後改革、②高度経済成長と国民意識の変化、③冷戦後からAI時代までの3つに区分されました。共同体の解体と個人化、そして現代における「つながりの不明瞭化」。その流れを追っていくと、私たちが直面している課題が浮かび上がります。
そして特に興味深かったのが「ゴジラ」の話。
なぜゴジラは日本にだけ上陸するのか。なぜ皇居には決して手を出さず、破壊の途中でターンを繰り返すのか。そこには単なる怪獣映画を超えた「戦争へのアンチテーゼ」が込められているのだと先生は語られました。戦死者の亡霊を背負った存在としてのゴジラ。スクリーンの中の咆哮が、戦後日本の記憶と痛みを象徴していると考えると、子どもの頃に観た映画が全く違う意味を帯びて迫ってきます。
さらに心に残ったのは、次の言葉です。
「私のものさしで問うのではなく、私のものさしを問う」
「自分とは何か?ではなく、何が自分なのかを問う」
自分の価値観を振りかざすのではなく、その価値観自体を見直すこと。自分を一つの定義で語るのではなく、何が自分を形づくっているのかを問うこと。こうした新しい視点に触れることができたのは、この記念の場ならではの学びでした。
1,500名の熱気に包まれながら、私は改めて決意しました。
自分の中の「ものさし」を問い直し、日々の小さな選択の一つひとつに、その気づきを重ねて生きていこう。
なお、「飛天」のあるグランドプリンスホテル新高輪は、2026年度中に営業を終了する予定です。JR品川駅前の再開発計画の一環で、解体後は複合ビルが建設されるとのこと。
だからこそ、今日この場に立てたことは、まさに一期一会の体験であり、歴史の節目に立ち会えた貴重な時間だったと強く感じます。最近ちょっと困っていることがあります。
それは「携帯電話から高齢者宅に電話をしても繋がらない」こと。
先日、私の携帯電話に「こちら山形県警捜査二課ですが…」と名乗る男性から電話がかかってきました。もちろん、次の言葉を聞く前に即切り。ドキッとしたのは事実ですが、詐欺電話に付き合うほど暇ではありません。
ただ一瞬、「捜査二課って『地面師たち』で辰さんがいた課だっけ?いや辰さんは警視庁の捜査二課か?」と、訳のわからない思考に迷い込んでしまいました。
それにしても、最近こうした正体不明の電話がやたら多いと聞きます。
だからでしょうか、本当に仕事で電話をしても出てもらえない。せめて留守電のメッセージから折り返していただければありがたいのですが、たいてい音信不通のまま。
結局どうするかというと、事務所の固定電話から掛け直すことになります。
携帯がダメなら固定から。これではまるで「間接フリーキック」。
相手から急ぎで!と指定されているのに、どうしてもワンクッション置かされる。
世の中の不安に備えるのは大事ですが、仕事の電話まで警戒されるのはちょっと切ない。
安心して電話ができる世の中、これからの課題かもしれませんね。