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768/1000 空き家は罠か、チャンスか 

768/1000 空き家は罠か、チャンスか 

「空き家を活用して」

この言葉を、ここ数年で何度聞いただろう。

行政の資料、セミナー、補助金の案内。

まるで合言葉のように、このフレーズが繰り返される。

けれど私は、その言葉を聞くたびに、少し立ち止まってしまう。

全国の空き家は約900万戸。

空き家率は13.8%と、過去最高を更新している。

数字だけを見れば、

「家は余っている」「チャンスは山ほどある」

そう感じるのも無理はない。

しかし、法規制・老朽化・権利関係などをクリアし、

現実的に使える空き家となると、体感で1%にも満たない。

この数字と実感のズレこそが、

空き家問題のいちばん分かりにくく、厄介なところだと思っている。

価値があるなら、もう売れている

空き家には、空き家になった理由がある。

立地が悪い。

道路条件が合わない。

用途変更ができない。

相続が終わっていない。

ちゃんと調べれば、

「なぜ今まで使われてこなかったのか」は、だいたい見えてくる。

それでも残っているということは、

多くの人にとっては、価値が見えなかったということだ。

これは空き家に限った話ではない。

モノでも、仕事でも、事業でも同じだ。

本当に価値があるのなら、

もう誰かの手に渡っている。

リフォームすれば使える、の落とし穴

「直せば住めるんじゃないですか?」

現場では、よく聞く言葉だ。

たしかに、建物だけを見れば、そう思える家もある。

雨漏りはない。柱も立っている。外観も悪くない。

けれど問題は、建物そのものではない。

再建築不可。

市街化調整区域。

用途地域の制限。

消防法や旅館業法の壁。

こうした法の制約は、

どれだけお金をかけても、リフォームでは越えられない。

皮肉なことに、

本当に壊れている家より、

一見まともに見える家のほうが、

人を迷わせ、時間を奪うことも多い。

空き家は、誰にとっての価値か

誤解してほしくないのは、

空き家に価値がない、という話ではない。

才能のある人にとっては、大きなチャンスでもある。

法規制を読み解ける人。

行政との調整をいとわない人。

赤字の時間を耐えられる人。

使い道を一から描ける人。

そういう人にとっては、

誰も見向きもしなかった空き家が、

一気に意味を持つことがある。

ただしそれは、

誰にでもできる話ではない。


この構造は、空き家だけのものではない。

面倒だから避けられている仕事。

儲からなさそうで敬遠される分野。

分かりにくくて手を出されない領域。

そこには必ず、

「理由」がある。

だから残る。

だから安くなる。

だから、チャンスに見える。

価値とは、

楽に手に入る場所には、ほとんど残っていない。

ただし、ひとつだけ付け加えておきたいことがある。

不動産の評価は、

間取り、外観、築年数、立地、そして値段。

そうしたデータ化できるもので、ほぼ決まっている。

けれど、

窓から見える景色までは、ほとんど評価の対象になっていない。

遠くに見える山の稜線や、空の抜け。

そうしたものは、

査定書にも、価格表にも、ほぼ反映されない。

だからこそ、面白い。

数字だけを見れば、価値がないと判断される家の中に、

プライスレスな価値が、ひっそりと残っていることがある。

それは、現場に立たなければ分からない。

実際に窓を開け、風を感じ、景色を見ることで、初めて気づく。

罠か、チャンスか

空き家の現場には、

罠もある。

難しさもある。

けれど同時に、

言葉にならない感動に出会えることもある。

それは、

データからは見つからない。

机の上では、決して分からない。

だから空き家は、

一概に「ダメだ」とも言い切れない。

空き家は罠か、チャンスか。

その境界線は、

数字の外側に、

そっと残されているのかもしれない。