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806/1000 便利な後輩を卒業する 

806/1000 便利な後輩を卒業する 

人を育てるということは、何なのだろう。

仕事に限らず、これまでさまざまな立場で人と関わってきたが、振り返ると「自分より下が育っていない」という場面を何度も経験してきた。


私より上の世代は、次々と仕事を振ってくる。

私はそれを右から左へと処理してきた。

量をこなす中で、確かに力はついたと思う。


だが、ふと気がつく。

自分の下が育っていない。


下の世代は、私を当てにする。

「小林さんがいれば何とかなる」

その空気は、安心でもあり、同時に危うさでもある。


この構図が続けば、組織は静かに弱体化していく。

仕事は回っているように見えて、実は“人”が育っていないからだ。


頼まれることに応え続けるのは、気持ちがいい。

評価もされるし、自分の存在価値も感じられる。

けれどそれは、いつの間にか「便利な後輩」「都合のいい中間管理職」を引き受け続けることにもなる。


今、必要なのはもう一段階先の役割だと思う。

自分がやることを減らし、人に任せること。

失敗させ、考えさせ、時間をかけて待つこと。


人を育てるとは、

自分が楽になることでも、

相手を甘やかすことでもない。


組織の未来のために、

あえて自分が“不便になる”選択をすることなのかもしれない。


便利な後輩を卒業する。

それは、次の責任を引き受けるという決意でもある。