最近、「ペンキが不足しているらしい」とか、「秋には靴が足りなくなるかもしれない」といった話を耳にするようになった。
こういう話題が出てくると、どうしても頭をよぎるのが、昔のオイルショックのトイレットペーパー騒動だ。買いだめが広がり、店頭から紙が消えたという話は有名だが、あの時は実際には本当に無くなったわけではなかったとも言われている。
むしろ「無くなるらしい」という空気が、無くしてしまった。
以前、当時買いだめしたトイレットペーパーがまだ残っているという記事を読んだ記憶がある。笑い話のようだが、これはとても象徴的な出来事だと思う。
備えは大切だ。しかし備えすぎると、誰かの分まで抱え込むことになる。
米の時もそうだった。少し不安になると、人は多めに買う。それが重なると、本当に足りなくなる。結果として社会全体が不安定になる。
備えるというのは、本来は安心のための行動のはずだ。
だから私は、「正しく備える」という言葉がしっくりくる。
例えば、いつもより少しだけ多めに用意しておく。普段使っているものを切らさないようにしておく。それだけで十分だと思う。
過剰に抱え込まなくても、静かな備えはできる。
備えるとは、不安に振り回されることではなく、日常を守ることなのだと思う。