最近、道端に落ちているゴミを「誰かの落とした幸運だ」と思って拾うようにしている。ペットボトルや空き缶を見つけては「ラッキー」と口に出し、ひょいと拾う。そんな遊び心を続けていたら、今日、また「ラッキー」と言いながら拾い上げたものがあった。
それは、なんとおみくじだった。
私は普段、おみくじを引かない。初詣で家族が盛り上がっていても「俺はいい」と遠慮している。くだらないと思っているわけではない。むしろ、めちゃくちゃ気にしてしまうからだ。新年早々、大吉以外が出たら嫌だ。そんなジンクスを抱えているから、そっと距離を置いている。
なのに、図らずも手にしてしまったおみくじ。雨に濡れ、しわしわになっていたその紙を、破れないようにそっと広げてみた。そこには「大吉」とあった。
一般的に大吉が出るのは20%前後の確率だそうだ。
でもそれは自分でおみくじを引いた場合の話。では──道端に落ちているおみくじが、たまたま大吉である確率は? 20%に加え、その紙が風に飛ばされ、雨に打たれ、そして私の前に落ちている確率を掛け合わせる。もうほとんど天文学的な数字になってしまう。
そんな巡り合わせで、私は大吉を拾った。
これはもう偶然ではなく、何かの必然かもしれない。
だから私は、このおみくじをお守り代わりにすることにした。財布の片隅にそっと忍ばせておく。見るたびに、道端の「ラッキー」を思い出して、また前を向ける気がするから。