家では掃除機を持つことはほとんどない。
自慢ではない。
しかし、どうしても掃除機を掛けたい場所があった。
それは会社の工場の梁である。
鉄骨の梁。
数ヶ月前、高所作業車を借りて蜘蛛の巣取りをした。そのついでにバッテリー式のブロワーで埃を飛ばしてみたのだが、全然綺麗にならない。
これはもう掃除機で吸うしかない。そう感じた。
しかし工場の梁と小梁をすべて綺麗にしようと思うと、かなりの覚悟と時間がいる。
しばらく見ないふりをしていたが、昨日思い切ってやることにした。
12mの高所作業車を再度借りて、スターウォーズのR2-D2のような丸い掃除機を持ち込み、いざ作業開始。
吸っても吸っても埃が出てくる。
そしてついにR2-D2がダウン。
仕方なく2台目を投入することになった。
丸一日かけて終わったのは工場の4分の1ほど。
それでも回収できた埃は20kg。
おそらく20年分の埃だろう。
今回はここまで。
あと3回やればゴールだ。
高所作業車の上で、ただひたすら掃除機を掛ける。
誰に褒められるわけでもないし、効率の良い仕事でもない。
しかし、終わった後の工場を見上げたとき、なんとも言えない気持ちよさがあった。
ふと思う。
会社というのは、こういう場所なのかもしれない。
誰も見ていないところに、埃は溜まる。
そしてその埃は、気づかないうちに積み重なっていく。
社長の仕事は社風をつくることだと言われる。
もしそうだとしたら、
社風とは「見えないところの埃」をどう扱うかなのかもしれない。
そんな話を家で妻にすると、笑いながら言われた。
「へえ、気になるところあったんだ〜」
普段は掃除機を持たない男なのだが、
どうやら私にも、気になるところはあるらしい。