今日は末の娘の中学校の卒業式。
これで、私たちが中学校に来ることももうないのだと思うと、少し不思議な気持ちになる。
兄弟合わせて、およそ10年。
入学式、運動会、三者面談、部活の送迎。
思えばずいぶん長い時間、この学校に通ったものだ。
この中学校は、田んぼの真ん中にある。
3階の窓から眺める庄内の田園風景は圧巻だった。
秋になれば稲穂が揺れ、
その向こうには高く聳える雲。
あの雲の高さと、庄内の空の広さは、今でも忘れられない。
しかし、そこに通っていた子どもたちにとっては、
きっとそれが当たり前の景色だったのだろう。
大人になって遠くへ行ったとき、
「あの中学校は、実は特別な場所だった」と気づく日が来るのかもしれない。
卒業式のあと、最後のホームルーム。
担任の先生が、生徒たちに歌をプレゼントしてくださった。
映画『サウンド・オブ・ミュージック』より
「山を越えて行け」。
先生は声楽をされているそうで、
教室いっぱいに響く歌声は見事だった。
その真剣さに、男子生徒の何人かは照れくさそうに笑っていた。
けれど、娘はまっすぐ前を向き、
じっと先生の歌を聴いていた。
その後ろ姿を見ながら、
ああ、いい子に育ったな。
そんなことを思った。
家に帰ってから、久しぶりに映画を見直した。
子どもたちは、これからそれぞれの山を越えていく。
そして親は、その背中を見送る。
兄弟合わせて10年通った中学校。
もうここに来ることはないけれど、
田んぼの真ん中の校舎と、
あの高い雲の空は、きっとずっと心に残る。