最近ずっと不眠に悩まされていた。
医師から処方された薬を飲む日々が続き、どうしても薬が手放せなくなっていた。飲めば眠れる。けれど、次の日がきつい。頭がぼんやりして、体も重い。眠ったはずなのに、どこか自分ではないような感覚が残る。
そこで思い切って、薬を飲むのをやめてみた。
もちろん最初はかなりきつかった。夜が長い。時計を見るたびに焦る。「また眠れないのか」と考え始めると、余計に眠れない。
けれど数日経ち、体から薬が抜けていく頃から、少しずつ変化が出てきた。
自然に眠気が来るようになったのだ。
そんな中、妻が心配して、私の母に相談してくれていたらしい。すると母が、「抱き枕がいいんじゃないか」と言ったそうで、後日、母が私のために手作りの抱き枕を作ってくれた。
なんとも不思議な気持ちだった。
いい歳をした息子のために、母が抱き枕を縫っている姿を想像すると、少し可笑しくもあり、ありがたくもある。
抱いて眠ってみると、これが意外と悪くない。
人は眠れなくなると、頭だけでなく、心までどこか緊張しているのかもしれない。
薬ではなく、誰かの気遣いに包まれて眠る夜がある。
それだけで、人は少し救われるのだと思った。