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毎日ブログ

2026/01/16
790/1000 置かれた場所で咲く生き方   

NHKラジオで「たそがれ清兵衛」の朗読を聴いている。

藤沢周平という、ここ庄内が生んだ作家の物語であり、

この庄内が映画の舞台にもなった作品だ。

原作に触れるのは初めてだったが、聴き進めると

清兵衛の顔が、思っていたのと違っていた。

冴えない三十がらみの男で、

私の頭に浮かんだのは、映画で主演を務めた真田広之ではなく、サザエさんのアナゴさんだった。


あの映画で私が感動したのは、

清兵衛の「本当に大切なモノを、大切にする生き方」に自分の生き方を問われた気がしたからだ。

清兵衛は、評価を取りに行かない。

出世も、体面も、武士らしさすら、後回しにする。


彼が大切にしていたのは、

地位でも、剣でもなく、

「一番近くにいる人たち」だった。


「置かれた場所で咲きなさい」という言葉がある。

この作品に出会ってから、

「咲く」という言葉の意味が、少し変わった。

咲くとは、

目立つことでも、

評価されることでも、

上に行くことでもない。

咲くとは、

置かれた場所から逃げずに、

そこで大切にすると決めたものを、

ちゃんと大切にし続けることだ。


朗読では、刺客としてやっと清兵衛が登場した所だ、

原作の清兵衛がどのように描かれているのか、
アナゴさんが真田広之に変わって浮かび上がるのか、注目したい。

2026/01/14
788/1000 語り合うように書く   

習字を習いはじめて一年半。

やっとのことで、初段に合格した。

初段になると、小学生に教えることができるらしい。

そう聞くと立派に思えるけれど、私の実感は少し違っていた。

スタートというより、「入口に立った」という感覚だった。

やればやるほど、難しくなる。

書道とは、そういうものだった。

始めた頃は、うまく書けないことしか見えていなかった。

形が取れない。止まらない。流れない。

それが最近は、悪いところも、良いところも、少しずつ見えるようになってきた。

線の入り。

止めの甘さ。

重心のズレ。

呼吸の乱れ。

そして同時に、

「あ、今の一本は悪くない」

そう思える瞬間も、ごくたまに現れるようになっていた。

その裏には、いつも先生の言葉があった。

「そこ、急がない」

「いまの線、力が前に出すぎ」

筆を持つと、頭の中で先生の声がループする。

できない自分に何度も向き合いながら、

それでも毎回、線の置き方を示してくれた。

直すべきところも、良くなったところも、きちんと言葉にしてくれた。

根気よく指導してくれた先生には、感謝しかない。

書道には、はっきりしたルールがあった。

手本どおりに書くこと。

自分の解釈はいらない。

徹底的に真似る。

考えなくていい。表現しなくていい。

ただ目の前の一字と向き合う。

無心になれる時間だった。

けれど、漢字は不思議な存在でもあった。

音があり、意味があり、浮かぶ情景がある。

しかも一字で完結せず、隣の字と支え合って世界をつくる。

私はいつからか、良い字はパズルのピースに似ていると思うようになっていた。

凸があるから凹が活きる。

強い線があるから、弱い線が映える。

動きがあるから、静けさが立ち上がる。


ときどき思う。

手本の文字を書いた人と、語り合ってみたいと。

この一字に、どんな気持ちを込めたのか。


もしかしたら、作者と語りながら書くというのが書道なのかもしれない。

2026/01/12
786/1000 入るを量りて、出ずるを制す   

パーソナルトレーニング6ヶ月コースが、いよいよ最終月に入った。

体重は約3kg減。

ウエストは4cm減。

数字だけを見れば、劇的な変化ではないかもしれない。

でも私にとっては、十分に現実的で、十分に嬉しい変化だ。

スーツのウエストが少し楽で、

階段を上ったときの息が少し軽い。

この「少し」が、日常の中では案外大きい。

この6ヶ月で手に入れた一番の成果は、

実は体重でも、筋肉でもない。

何を食べてはいけないかを知った。

何を食べると調子がいいか。

何を食べると眠くなるか。

何を食べると、翌朝むくむか。

何を食べると、体が重くなるか。

正解のメニューを覚えたというより、

「自分に合わないもの」が、体で分かるようになった。

これはたぶん、一生使える感覚だ。

正直、このコースが終わったらどうなるんだろう、という不安はある。

トレーナーがいなくなり、

予約がなくなり、

「行かなきゃ」が消えたとき。

人は簡単に元に戻る。

それを私は、仕事でも、暮らしでも、何度も見てきた。

そんなことを考えていたとき、ふと思い出した言葉がある。

「入るを量りて、出ずるを制す」

細井平洲の言葉だ。

最初に、場を量る。

状況を量る。

自分の立ち位置を量る。

そのうえで、

どこに着地するかを決める。

どう終えるかを定める。

経営でも、会でも、文章でも、

入り方が決まれば、出口は半分決まる。

この6ヶ月を振り返ってみると、

私はずっと「入るを量る」時間を過ごしていたのかもしれない。

自分の体は、何に反応するのか。

何を入れると、どうなるのか。

どんな生活リズムなら、続くのか。

無理をしたかと言えば、していない。

気合で乗り切ったかと言えば、たぶん違う。

ただ、淡々と量っていた。

どうやら私は、

一気に変わるのは得意ではないけれど、

コツコツ続けることは、案外できるらしい。

派手な目標は立てない。

気合も長くは続かない。

その代わり、決めたことを、静かにやる。

振り返ると、

続いているものがあり、

そばに残っているものがあり、

体もまた、静かに変わっていた。

正直、筋肉をこのまま維持するのは難しいと思う。

多少は落ちるし、サボる日も出てくる。

でも、

全部失う感じはしていない。

なぜなら私はもう、

戻り方を知っていて、

太り方も知ってしまっていて、

そして何より、

何を食べてはいけないかを知っているからだ。

パーソナルトレーニングが終わるというより、

管理される期間が終わって、

自分で選ぶ期間に入る。

6ヶ月かけて「入り」を量った。

これからは、自分で「出口」をつくっていく。

どんな生き方をしたいのか。

そして、それを支える身体はどうありたいのか。

その「出口」から逆算して、いまの入りを量る。

これは、身体の経営学なのかもしれない。


2026/01/10
784/1000 オゾンは時間のにおい   

事務所でコピー機が印刷を始めると、いつも少しだけ空気が変わる。ツンとした、金属のようなにおい。ある朝ふと思った。あ、これ……うちの現場で使っているオゾン脱臭機と同じにおいだ。

私の仕事は、においと向き合う場面が多い。家財整理の現場。長く閉ざされていた家。水害のあとの部屋。そういう場所で、私たちはオゾン脱臭機を回す。しばらくすると、あの独特のにおいが空間に立ち始める。「効いてきたな」という合図のようなにおい。

消臭作業をしていると、オゾンは時を加速させる魔法のようだと感じる。それは、長い時間をかけて自然界がやっていることを、ほんの数時間に縮めてしまう仕事だからだ。風が通い、光が入り、微生物が働き、季節をまたいで薄れていくはずのにおい。それを、オゾンは一気に引き寄せる。

この仕事には、はっきりとした季節がある。冬はほとんど出番がない。消臭作業のオフシーズン。本番は5月から10月。湿気が出て、温度が上がり、家も空気もにおいを溜め込みはじめる頃。私たちの出番も、そこから一気に増えていく。

現場で脱臭機を回していると、においが消えていくのと同時に、その場所の「時間」が進んでいく感じがする。昨日まで確かにあった痕跡が、今日にはもう輪郭を失っている。私はときどき、片づけをしているのか、時間を動かしているのか、分からなくなる。

調べてみると、コピー機も印刷の過程で微量のオゾンを発生させているらしい。なるほど、と思った。事務所で嗅いだあのにおいは、現場で何度も嗅いできたにおいだった。

コピー機と脱臭機。

役目は違うのに、

あのにおいだけは、どちらにも立つ。

事務所でそれを嗅ぐと、

私は少しだけ、現場の時間を思い出す。

においが変わるとき、

何かが終わっている。

そしてたぶん、何かが始まっている。

2026/01/08
782/1000 「新しい」が始まるとき   

新しいことを始めるとき、

それはだいたい「準備万端」の瞬間ではない。

まだ早い気もするし、

本当に必要なのかも分からない。

今のままでも、たぶん回る。

そんな地点で、えいっと踏み出す。

だから「新しい」が始まるときには、

いつも思い切りがいる。

ただ最近は、そのきっかけのほとんどが

「必要に迫られて」だ。

環境が変わり、

人が育ち、

やり方に歪みが出始める。

思えば今は、

父の時代から、私の時代に変わる時なのだ。

やり方も、判断も、背負い方も。

受け継いできたものを胸に収め、

今度は自分の足で立つ段階。

準備ができたから立つのではなく、

立たされた場所で、覚えていく。

そんな感覚に近い。

そんなことを考えていると、

家に帰って、息子が言う。

学校の音楽クラブで

何か演奏するんだとか。

歌か、ピアノか、ギターか。

ベースでもいいらしい。

じゃあベースやったら。

息子は笑顔で頷いた。

私から息子への時代は、

もう少し先のようだ。

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