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毎日ブログ

2026/03/28
860/1000 仕事の醍醐味   

エアコンの取り外しの依頼があって行ってきた。

90代ぐらいのおばあちゃんの住むマンションだ。予定を覚えていてくれるか心配だったが、エアコンの下に脚立まで構えていてくれた。

 

入ると対面キッチンのダイニング側に、仏壇が置かれていた。ご主人に先立たれたのだろうということが自然と伝わってきた。


エアコンはガスを回収するために電源を入れる必要があるので、「リモコンありますか?」と聞くと、「これかしら」と差し出されたのは、なぜか爪切りだった。

「あ〜ちょっと違うかな〜」と言って、本体のスイッチで強制運転をかけてガスを回収する。


作業の間、いろいろなお話をした。

買い物はどうされていますか?と聞くと、「近くのスーパーまで歩いて行ってるの。健康のためにね」と教えてくれた。

 

なんとかんく、持ち物や所作で現役の頃の職業を推測してしまうのが悪い癖で、先生ぽいなと思い、先生をされていましたか?と聞いてみると、

「隣町の役場に勤めてました」とのことだった。

 

あの役場は新しくなりましたが、行かれましたか?と聞くと、「この前、娘に連れていってもらって見てきたの、だいぶ変わってたね〜」と少しうれしそうに話してくれた。

そして最後に、しっかり作業料金は値切られた。

 

この方の人生の数万分の1の時間を共有して、人生のほんの一部だけれどを伺うことができた。

おばあちゃんの日常はこれからも続くだろう。
そして私は、その辺を通ると、あの仏壇や脚立や爪切りのことをきっと思い出し、元気かなと考えるだろう。
その人をダイレクトに感じられるこの仕事は実に面白い。

2026/03/26
858/1000 後始末の気持ちよさ   

昨日、「侍タイムスリッパー」を観た。幕末の会津藩士が140年後の現代に現れるという物語だが、印象に残ったのは刀でも戦いでもなく、ひとつの静かな所作だった。

どうでもいいようなワンシーンだが、混乱の中でも彼は布団をきちんと畳んでその場を後にする。

 

ほんの短い場面なのに、「武士とはこういうものだ」と自然に思わせる力があった。もちろんフィクションなのだけれど、不思議と納得してしまう。きっと武士ならそうするのだろう、と。

 

実は私は朝の布団を畳むかどうかで、妻によく注意される。どうせ私がもう一度畳むのだから、そのままでいいと言われるのだ。合理的に考えればその通りである。

 

けれど今朝は違った。映画の余韻のまま、きっちり畳んでから出社した。

 

すると不思議なもので、気持ちが整う。

 

布団を畳むというのは効率の問題ではなく、「後始末」なのだと思う。自分がいた場所を整えて去るという、小さな区切りのようなものだ。

 

私たちの仕事もまた後始末に関わっている。暮らしのあとを整え、時間の痕跡を整え、人の営みを次へ渡していく仕事だ。

 

整えて去る。

 

それだけのことなのに、そこには確かな気持ちよさがある。


2026/03/24
856/1000 永遠なるもの   

鶴岡公園の梅が咲いていた。

やっと春だな、という実感がある。

「明けない夜はない」という言葉がある。けれどそれに対して、「明けない夜もある」という少し意地の悪いような言葉もあるらしい。

 

どちらも本当なのだと思う。

 

人生には、簡単には明けたと言えない夜もある。そうは言っても、明けたあとで振り返ってみれば、あれは夜だったのだなと思うこともある。

 

明けても、もしかして明けなくても、大切なのは希望を持つことなのだと思う。そういう気持ちになれない時もあるし、絶望しているような時もある。

 

それでも希望を持とうとする。

持てなくても、持とうとする。

 

その姿勢そのものが、生きるということなのではないかと思う。

 

私の五十年の人生で得た知見として、「ずっと続くことはない」ということがある。良いことも続かないし、悪いことも続かない。そもそも良いか悪いかさえ、長い目で見なければわからないことも多い。

 

永遠というものはない。

 

鶴岡公園の梅が咲いていた。

やはり春は来るのだ。


2026/03/22
854/1000 クロムなめしの革の香り   

昨日、49歳になった。

魚座と牡羊座の分岐点に生まれているせいか、自分にはどこか二面性があるような気がしている。

考え込む自分と、動き出す自分。慎重さと勢い。

そのどちらも確かに自分の中にあるように思う。

もっとも、そんなことを言ってみても、バカであることには変わりがないのだけれど。


けれど最近は、それでいいのだと思うようになった。

むしろこれからは、もっとバカでなければならないのではないかと感じている。

分かったつもりにならないこと。

偉くなった気にならないこと。

人の話をきちんと聞くこと。

そして、新しいことに素直に驚けること。

そういう意味での「バカ」でいたいと思う。


今朝は新しい鞄を持って出社した。
クロムなめしの革の香りがまだ残っていて、小さなことだけれど少し気分が上がる。
49歳の始まりを、この鞄がそっと応援してくれているような気がした。
まだまだこれからだと思わせてくれる朝だった。

2026/03/20
852/1000 今を直視するために   

悪くしたい人なんて、いない。

誰だって、良くしようと思って動いている。

けれど、結果として悪くなっていることがある。

 

丁寧にやったはずなのに。

考え抜いたはずなのに。

それでも、なぜか噛み合わない。

 

そんな時に必要なのは、「もっと頑張ること」ではなくて、「今を正しく見ること」なのかもしれない。

 

洋服で、いつもお世話になっているブランドがある。

ECサイトを中心に展開しているところだ。

 

販売されているプロダクトは、どれもかなり完成されている。

ベーシックなセットアップが多く、シルエットも素材も、細部の作り込みも申し分ない。

 

それでも、そのブランドは毎年のように改良を加えてくる。

 

ほんのわずかな違いかもしれない。

けれど、その小さな更新が、確実に「今」に合った一着を生み出している。

 

このスピード感と企画力。

そして何より、「今を直視する力」。

 

これが、本当にすごい。

 

世界も変化し、

人もまた、少しずつ変わっていく。

 

そしてふと思う。

これを日常で行えるものがあるとすれば、それはモノの整理なのではないかと。

 

自分の今は、自分を取り巻くモノたちから見えてくる。

 

クローゼットの中。

机の引き出し。

何気なく置かれている道具たち。

 

その一つひとつの中に、過去がある。

あの時必要だったもの。

自分を支えてくれていたもの。

 

けれど、それは今も必要なのだろうか。

 

感謝を持ちながら、きちんと直視する。

そして、「今に合っているか」を確かめていく。

 

変わり続ける世界の中で、

変わっていく自分に、

ちゃんと向き合えているか。

 

整理とは、ただ減らすことではない。

今の自分に合うかどうかを問い続ける行為なのだと思う。

 

今の自分を直視するための、

とてもシンプルで、確かな方法なのだ。

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